令和の休日

初出
2019.10.23 08:57 Twitter
[]カッコ内はフォロワーさんのツッコミです。
いんさん、ありがとう。

留学先から忽然と姿を消してしまった王位継承ナニソレなアラブの王子様が、皇居周辺のコンビニでバイトしているところを嘗ての側近に見つかって拘束される話はどこで読めますか? 多言語を操れるせいで、店長に泣きつかれてバイト休めなかったやつ。

内調にはとっくに身元がバレてるんだけど、母国連れ戻そうとするひとがいなかっただけの話で。連絡を受けた親兄弟も「好きにさせてやってくれ」と意向を通達済。優秀な王子に未練のある側近は、本国を出て自由に動けるだけの権力を身につけるため、血の滲むような努力を重ねて来日。

「本国に、どうぞ私と共にお帰りください!」「やだよ! だって俺、もう仏教に帰依しちゃったもん!!」末端王族とはいえ、まさかの改宗。崩折れる側近。「お肉美味しいしお酒も好きだし、第一、お前を好きな自分を憎悪しなくていいここにいたい……」ゴクリと生唾を飲み込み状況を見守るギャラリー。

宗教的に禁止されているけれど、庶民は莫大な結納金を相手方に納めるほどの稼ぎがなかったり、そもそも女性と触れ合う機会が少なかったりして、男同士の友愛を深めている者も多い。つまり男カップルなんて見慣れてる側近にはピンとこない話だ。「…………ああ」末端でも王族だった。禁忌は根深い。

「いや、でも兄上様方も級友との親交を深めてんんん(これは自分が公然と口にしてはいけない話だった。盗み聞かれていては尚更)……とにかく! 帰りますよ!!」「どこに連れ帰るって?」バックヤードから、のそりと現れる男。「店長……」
『店長キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』呟かれる実況。

シンとした店内に響く来店チャイム。「お前ら何やってるんだ」スマホ片手に登場する美形王子。「兄様!?」「王子。どうしてここに?」「どうもこうも、お前らのやりとりは逐一実況ツイートされてるぞ?」雑誌コーナーでスマホを取り落とす平凡サラリーマン。それを拾って、ニヤリと笑う王子。

目の前でスマホをゆらゆらされて右往左往する平凡リーマン。「か、かえしてくださいぃ」「返して欲しかったら、私と一緒に来ようか?」「え、ちょ、兄様??」「末弟よ、お前も来なさい。……店長、代わりにこいつを置いて行くので少し時間をください」差し出される側近。「いいけど」いいのかよ!!

コンビニの外に出てみたらロールスロイスが路駐してました。運転手に手をガッツリと握られオッサン警官が困惑しています。「面倒を増やすな」王子の叱責に、エスコートされた平凡リーマンをチラリと見て「あんたに言われたくない」と不遜に返す運転手。何者。そのままホテルへ移動。

甘い声で半ば脅して、運転手はオッサン警官の名刺をゲット。なんやかやありまして、末弟王子は今もコンビニで働いています。側近は在日駐在員として栄転(?)してきました。そのうち末弟王子をヘッドハンティングする予定です。オッサン警官は運転手とワンナイトラブして別れてを繰り返しています。

平凡リーマンは石油王の嫁(のひとり)になりました。日陰者だけど、そのくらいが自分にはちょうどいいと言って笑っています。嫁たちとキャッキャ異文化交流する日々です。自分の半生をフィクションとして投稿したら、運営に「ムーンに移動してください」と叱られました。これが僕らの『令和の休日』。

出逢う者すべて巻き込んでいく驚きの吸引力。

因みに、店長のお相手はお堀の向こうにいるので今回は巻き込まれなかったのでした。強力な護符を持たされています。

#BL版 #令和の休日
タグつけておこう。流行れ( ˘ᵕ˘ )

ブッダは神じゃないから一神教的に確かセーフで、仏教徒は無神論者よりはマシって扱いは有効なのかな(トルコ関係の本を読んでいた時に出会った、現地の方の考え方です)。宗教観その他、ゆるっと見てもらえると有り難い。

[強力な護符が素敵(*´艸`)w
側近がその存在に気付いたら、皇子に持たせようとして欲しいです。]

式神という名の監視システムですw そして「神様が喧嘩するから駄目ですね」って諦めるよう諭されます。

[持たせたいのに持たせられないシステム!]

ハムサとかナザールボンジュウを持たせればいいと思うんだけど、王子の目が青かったりするんでしょきっと。

[なかなかインパクトのあるお守りですね(検索した)]

邪視を避けるので、目的としては合っているのかな。青い目の人は呪うほうだけど(他人を呪う力があるという、俗説です)。ペルシアの血が流れていると(アーリア人)青や翠の目も生まれるようですね。きれい。

螺旋の梯子

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