平民騎士団長と宰相様

初出
2019.12.15 00:01 Twitter

めっちゃ強い酒を呑んで平然としてる美貌の宰相閣下が、子供騙しみたいな甘い酒でデロンデロンに酔って甘えて騎士団長(実力主義で平民ばっかり魔物討伐ばっかりやらされてる)と一夜の誤ち☆ みたいなのいいよねー。

しかも、普段の高慢で不遜な態度から閨でも上から目線のビッチ系かと思いきや、想像もしていなかった清純困惑滴るエロス☆

なんで未だに独身なのかと思っていたら「だって、敬遠される……」ってしょんぼりするし。貴族の嗜み閨の手解きも受けた事がなく、そういう交わりは未経験。故の潔癖。オープンエロ、娼館通いに婦女子の品評など以ての外と毛嫌いしていた。騎士団長の、真ん中どストライクでした。

「俺が全部教えてやる」って言ったら瞳を輝かせて俎の上の鯉! そしていちいち気持ちいい実況!!「え……それ、ん、あ……きもちいい……でもなんで、そんなことする……ああッ」無自覚エロテロ。こんなん、酒じゃなく俺に酔わせてやりてぇ……って思うじゃん?!

一夜を共にした後、宰相閣下は姿を消していて。あー、嫌われたな。正気に戻っちまったら、俺なんか手の届かん人だよな。って諦めていたら、向こうは勝手に恋人認定してて。ほわほわ幸せそうに、日々輝いて(めちゃ怖い)お仕事さてて。

騎士団長の耳に入る、宰相閣下婚約の噂。経験したから自信を持って、結婚に踏み切れたのかと。失恋の痛みを紛らわせようと魔物討伐に励む騎士団長。着実に出世していく。

魔物の氾濫を鎮め王都に戻った騎士団長。お祝いムードな人々。宰相閣下はもう結婚して子供でも生まれた頃だろうと思っていたのに。謁見の間で王に「褒賞に何を望む?」と訊かれ、俯く騎士団長。油断すれば宰相閣下に視線を向けてしまう。「何も。私は、私の務めを果たしただけです」と述べるに留まる。

「――だ、そうだ」と、およそ自分に向けたとは思えない言葉を不審に思い、顔を上げると、蒼白な面に一筋の涙を流す宰相閣下。「いくら待ったところで、こいつはお前のことなど何とも思ってはいないようだぞ?」と。宰相閣下に向けて、砕けた言葉で告げる王。困惑する騎士団長。

耐えられないとばかりに、礼をし謁見の間を退く宰相閣下。困惑は深まるばかり。「――で? うちのクソ真面目で、国に全てを捧げ尽くしてくれる、恐ろしく無垢で潔癖な美貌の宰相に、酔った勢いで手を出して捨てるつもりなのか? あいつは俺の大事な幼馴染なんだがな。偉くなったもんだな? お前」と王。

「婚姻の許可を!!」と叫ぶ騎士団長に、「求婚が先だろうが、馬鹿者!!」と叫び返し、「口説き落としてこい」と退出を促す(手でシッシされた)。その後、宰相閣下を追いかけ回す騎士団長と、「仕事をしなさい!」と叱りながらどこか嬉しげな宰相閣下の姿を見たとか、見ないとか。

きっちり一年後くらいに挙式ですかね。お粗末さまでした。

螺旋の梯子

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