‪#愛・悪・君で文を作ると


 「迎えに来たよ」
 
 と君が言った。
 センセーショナルな発言で、一躍、時の人となった転校生。
 その美麗な容姿と相俟って、ヤバい台詞もド嵌りしてた。
 退屈な箱庭で、刺激を求めていた俺らの心は激しく揺さぶられた。
 ――厨二病的な意味で。
 
 「遅せぇよ。ったく、いつまで待たせるんだ」
 「時空《とき》渡りして、漸く捜し出したというのにつれないな。愛し君よ」
 悪ノリ全開で、俺の手を取り、愛おしげに見つめながら指先にキスを落とす。
 本当、やりすぎだって。
 おかげで、一日にして公認カップル扱いだよ。
 別にいいけどさ。ここ男子校なんだよね。
 あー、あれだ。『昔馴染み』って言い訳はさてくれ。
 
 「禊は済んだのか? ――魔王サマ」
 「だからこそお前の前に立てるのだ。私の勇者よ」
 
 二人きりとなった寮の部屋で。
 俺たちの物騒な睦言は、互いの唇に甘やかに蕩けていく。

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‪#愛・悪・君で文を作ると性癖がバレる‬

螺旋の梯子

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