三次元こわい

初出
2020.01.05 8:38 Twitter

ゲームで知り合い、SNSで繋がった同い年の陰キャがスクールカースト最上位の無口イケメン様だったはなし。その事実を知った平凡(スクールカーストは中の下くらい?)な僕は、「……ま、リアルとネットは別物だし?」って特に気にせず交流してたんだけど、あいつはリアルでも接近してきて……

「え? ちょ、なに凸してきちゃってんの? バカなの?」
「好きなんだ。誰にも取られたくない」
先に気がついたのはどっちだったんだろう。お互いの存在を。先に愛しいと思ったのは、どっちだったんだろう。不器用で一途なイケメンと、周囲に埋没しているようで(マイペースで芯が通っているため

意外と一目置かれている)キラリと輝く平凡な男の子たちのアオハル……的な。
ぱっと見のステータスだけで判断するような奴は平凡くんを下に見るけど、ちょっとでも交流したことのある奴は好意的に捉えている感じで。無関心無感動なイケメンが心を動かされた存在として、イケメンの周囲は見守り体勢(◯態勢)。

残念なイケメン攻め×男前平凡受け。ありがちなやつ。

「ゲームでクリエイトしたキャラよりリアルお前のほうがイケメンだし設定盛りすぎだろ!! ふざけんな?」
「ご、ごめんね?」
「もーー!!」ぷんすこ。
「怒ってる?」
「怒ってません!!」
「機嫌直して?」キラキラビーム✨
なんだかんだ言ってイケメンの顔にも弱い平凡くんだった。一番は性格。

「で、最近どうよ?」
「うちに遊びに来た時、簡単なものを作ったんだけど」
「あー(あのセレブマンションでイケメン様が手料理!)」
「凡くんに貰った細々したものを飾ってたら『祭壇作るな』って怒られた」
「祭壇!?」
「あと、凄く喜んでくれて『僕も作る!』って一緒に作った」
「お幸せに!」

「……で?」
「なに」
「どうなの彼氏」
「彼氏言うな」
「……彼氏じゃないの?」
「彼氏です!!」
「上位連中に虐められてない?」
「ん? ないよ? みんないいやつ!」
「意外」
「そーでもないだろ。なんか、保護者目線で見られてる」
「保護者」

「なんか、心配だったみたいよ? イケオのこと」
「お前は合格点をもらったのか」
「んー、どうだろ。よくわからん。でもあいつを心配する気持ちは凄く分かる。僕も心配。あいつ危なっかしいし」
「保護者の仲間入り」
「しない。彼氏だし。邪魔されたら流石に闘うわ」
「男前……」

「僕は軽い奴じゃないし、踏み込まれたら重くなるよ? 狡くなる。嫉妬するし、イケオを試すかもしれない」
「うん」
「女々しくなって、な、泣いたりするかも」
「うん」
「飽きて捨てられたら死ぬかもしれないし」
「うん」
「――イケオのことすきなんだ」
「うん。俺は大好き」
「狡いぞ」
「うん」

言葉も体も重ねたカポーが、そう簡単に他人の横槍でグラグラして欲しくなさあるよね。不安になったら直訴! みたいな強さが欲しい。

螺旋の梯子

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