片翼の小鳥

初出
2020/08/16 11:26 Twitter

(あかん……。女の子はあかん。)

王子と王女、双子がそれぞれ引き離されて互いを人質にされ、嬲られて。王子は男としての矜持も何もかも踏み躙られるんだけど、姉のためと身を挺していたのに。ある日、やっと引き合わされた時には姉姫の腹は大きく膨れ、その目は虚ろ。弟を認め僅かに取り戻す正気。

と、同時に腹の中の子が胎動し絶叫する。騎士らに取り押さえられる姉姫。駆け寄ろうとした王子はその場で引き倒されナイフで服を切り裂かれる。その身に刻まれた疵、暴行の跡、そして穢された証。声にならない叫びの中で犯される。抵抗は虚しく、飼い慣らされた肉が歓喜する。その絶望。

体内に叩き付けられる白濁。これを、姉にもしたのか。どうして僕は言いなりに身を任せ耐えたのかと、虚しさに力なく投げ捨てられた体を尚も嬲るれ男。隣国の征服王。いつの間にか大人しく生き人形のようになった姉姫が近付いてくる。最後に残された羞恥から身を捩り、男が王子を押さえつけた瞬間――。

姉姫は落ちていたナイフを自らの腹に突き立てる。世界が赤に染まる。赤、赤、赤。叫んでいるのは自分か。腕が喉が裂ける。鉄の匂いと味。血反吐を吐いて這いずるも姉姫に手が届かない。どうして、どうして。闇が降りてくる。その絶望の中で僕は確かに、産声を聞いた。

(ほら、救いようもなく暗くなるー。)

でもあれよ。この赤子が主役の話なのよきっと。この世のものとは思えぬ美貌の王子なんだけど、母の下した刃で、消せぬ疵か欠損かなんかを生まれながらに持っている不憫な子。

離宮に、自分によく似た儚げな男が囲われていて、母の名で呼ぶのよ。でも絶対に触れないし触れさせても貰えない。穢れているからと。強い薬を与えられ夢の中に生きるようになっているの。そこに父王が訪い、まるで夫婦のように寄り添う。王子はその姿を見て胸が引き裂かれる思いを抱く。憐れだと。

双子の王子は、衝撃のあまり姉姫と自分を混同してたりしてる。失った姉を失った子供とすり替えて、我が子を恋しがる。でも目の前にいる甥っこ王子とはイコールにならないの。王は、双子の王子が狂っいようと構わない。王が欲しかったのは王子だけだから。その瞳が自分に向いているならそれでいい。


以下、フォロワーさんとの会話。

【Fさん】
だ・い・す・き!!!
双子に想いを寄せてた奴が赤子か幼児だかを奪うんだよ(;//́Д/̀/)ハァハァ

【私】
奪われー? でも双子の王子を縛り付けたい王は奪わせないと思うな。我が子には無関心だけど。
きっとそいつも無惨に殺されちゃうね!

【Fさん】
一瞬だけ外に連れ出して、楽しさを教えてから殺されるの♡ 王子はそいつの指先を大事に持ち続けるんだね♡♡♡

【私】
こわー。こわいーー。なにこの狂気な家系。

【Fさん】
元ネタwww

【私】
あ、はい私が書きました……( ˙-˙ )スン

螺旋の梯子

荊汀森栖【Katie Maurice】 創作小説サイトです。 ▪️弊サイトにある画像及びテキストの複製、転載、二次利用は著作権の侵害に当たります。 ▪️著者が許可した範囲外での印刷、ウェブサイトへのアップロードは固く禁じます。

0コメント

  • 1000 / 1000